木簡総合コミュニティサイト [木簡ひろば] 奈良文化財研究所

木簡解読コーナー 解読案

解読案 発表

たくさんの方々に解読していただきました。

どうもありがとうございました。

木簡の写真と私たちの解読案を提示します。

いかがでしょうか?

解答いただきました皆様の解読案も今後の研究に活用させていただきます。

《お知らせ》解読案をご応募いただきました方々のうち、応募用紙にご住所を記載していただいた皆様に、先日、ささやかながら、記念品をお送りいたしました。
発送が遅くなりましたこと、お詫び申し上げます。
発送は、応募用紙に記載された住所にしたがいましたが、残念ながら、宛所不明で、返送されている場合が数件発生しております。お心当りの方がございましたら、お手数ですが、下記連絡先まで、お名前や正確な連絡先を御一報ください。ご応募の確認がとれましたら、再送いたします。
連絡先;奈良文化財研究所史料研究室 メールアドレス shiryo★nabunken.go.jp  
(★は@マーク) [2011.5.27]

   「謹以申聞謹」は、当時の文書に使われた決まった文言の一部。この文言は、当時の行政の最高機関である太政官から天皇に伺いをたて、それがよいかどうか許可を求める文書のしめくくりの部分に使われるもの。この決まりは、書式や作成手続きの決まりごとを示した公式令【くしきりょう】に定められています(論奏式・奏事式・便奏式など)。これによって、最後の文字「謹」の後には、「奏」字があり、そのあと、年月日、署名などがあったことも予想できます。もしかすると、次の②も、元は同じ木簡で、この下に数文字分(「奏」と年を書くはず)の断片をはさみ、②が続いていた可能性もあります。「具」の字の前の部分には、許可を求める具体的な内容が書かれていたはずです。

 

 

  何かの文書の末尾にあたる、日付と文書の責任者の記名の部分。

「廿」の字は、「二十」を表すので、日付は2月24日。「兼」の字は、今の書き方と異なっていて下の方が「人人」となっているので、「原」や「源」の解答もありましたが、当時はこのように書いていました(木簡字典←詳細は画像をクリック!)。

 日付の下は、官位等の記載。「兼」は兼職を表すので、その下の「内」字のあとにも官職名およびその人の姓名が続いていたはずです。「正四位下」は位階、「右大弁」は官職、その間の「行」は、当時の規定にあった”位階”と”官職のランク”の関係を表す。その位階にふさわしい官職のランクの決まり(官位相当制)とは異なって、位階にしては官職のランクが低い(官位不相当)人が署名する際、「行」を書きます(反対の場合は「守」)。「右大弁」は本来「従四位上」が相当ですから、この場合は「行」。しかも、官位不相当の場合は通常と違って、位階を先に書くことになっていました。

  仕丁【じちょう】である蝮部虫人【たじひべのむしひと】に関係するお金(表面より1000文)の付札。「貫」字の上に穿孔が1つあり、孔に紐を通すなどして、銭にくくり付けられていたものです。「貫」は、銭に紐を通して束ねるという意味で、この蝮部虫人が「貫」をしたということでしょう。

  「蝮」字は、まむしの古名”たじひ”と読みます。この虫偏と下の「虫」字のタテ画の上には、「ノ」のような1画がある。この1画によって、「悪」字という解答が多くありましたが、当時の「虫」字はほぼこのように書かれています(木簡字典「虫」字;,,←詳細は画像をクリック!)。この人は、「悪人」ではなくて「虫人」。

  出挙銭【すいこせん】の請求についての解【げ】の文書の冒頭部分。出挙銭は、古代の利息つきの借金のこと。
  「挙」の字は、上部の「ツ」の部分がややこしくて、読みにくくなっています(木簡字典「挙」字リンク)。「銭」字は「殿」という解答もありました。金偏もいびつな形になっているし、旁も「土」と「戈」の組み合わせのようになっていて、今と異なります。銭の旁は、他に「戈」2つの組み合わせもあります。(木簡字典「銭」字;,,←詳細は画像をクリック!
  「謹解申・・・事」は、解のはじめに書く決まった文句(公式令の解式に定められている)。解は下級の役所から上級の役所へ提出する文書。「謹」という文字や、冒頭の「謹解」と「申請」のあいだに、1字分の空白があるのは、上級役所への敬意を表します。これらも決められている書き方です。
 「事」の字の下の「合」字は明瞭ではないが、その可能性があります。この下に2文字分あることはわかるが、割れているため、何の文字かは不明です。

  衛士【えじ】らの職務分担あるいは食料支給に関する木簡か。
 
  はじめの「三」の字の上には、以下の「右衛士」にあたる語があった可能性が高い。“衛士府”は「右」の他には「左」しかないので、「左衛士」と書いてあったのかもしれません。また、おわりの「三人」の下にも、3文字あることはわかりますが、何の文字かは不明。

  「将監紀朝臣」は、『続日本紀』にも出てくる、「近衛将監【このえのしょうげん】紀朝臣船守【きのあそんふなもり】」のことです。「将監」は、左右近衛府の第三等官で、「曹司」はその執務室という意。ここでは、その部屋付きの者一人ということか。
 

  「曹」字の上の部分は、今はタテ2画ありますが、当時は1画のみ(木簡字典「曹」字;←詳細は画像をクリック!)。解答の中には、「冑」の字や 「専」の字もあり、たしかに1画だと見間違えそうです。
  「朝」の字は、「月」の部分が薄くなっているので、見えにくく、「幹」の字の解答もありましたが、ここは「紀」という氏に続くことから、古代の姓【かばね】である「朝臣」の「朝」字となります。