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くっつく文字

くっつく文字
 
展示室コーナーの木簡の写真はご覧いただきましたでしょうか。
 
木簡に書かれた文字(漢字)をみると、今の活字とは全然違って、私には、筆の跡をたどるだけで精一杯です。
そして時々、続けて書いてあるせいか、書くスペースが限られていたせいか、文字がくっついているようにみえて、どこからどこまでが1文字なのかわからないときがよくあります。
 

   とはいえ、私にでもけっこうはっきりと見える木簡もあります。例えば、写真の木簡(『平城宮木簡』1-419)です。スペースもそれほど窮屈ではなさそうですよね。書いてある内容は別として、まず字数を数えてみましょう。
            
答え→16文字でした。
                     《釈文:阿波板野郡井隈戸主波多部足人戸》
大当たりの方はいらっしゃいますか?
 
私は見事にハズレ。15文字に見えました。何度数えても、15文字。上から順に1文字ずつたどっていくと、あれれ、1文字と思っているところに2文字!
 
それは、9文字めと10文字め。釈文には「戸主」とあります。
 
「戸」の字にも「主」の字にも見えなくて、あえていえば「雇」の字1文字に似てるようにみえます。
 
この2つの文字、実は“戸主:戸籍の筆頭者”という意味の2字で1つの言葉で、元々仲がよかったらしく、2つの文字がくっついたように書かれてしまったのでしょうか。
 
この言葉が出てくるときは、一緒にくっついて出てくることが多いようです。ぜひ、木簡庫http://mokkanko.nabunken.go.jp/で「戸主」と入力、検索してみてください!
こんなふうにみていたら、年号「天平」も。
そういえば、現在も使われている「麿」という文字、思い出しました?今はもう1つの文字として扱われていますが、元々は仲の良さが高じて。
 
ちなみに、縦書きなので、上下で組み合わされているのかと思いきや・・・
 
いえいえ、横に組み合わされたものもありました。「采女」という言葉の2文字。
 
 (『平城宮木簡』2-2258)
以上は2文字の組み合わせですが、一体何文字まで組み合わせられるでしょうか。木簡の中ではまだ2文字以上を見たことがないですが・・・。
木簡学会の機関誌『木簡研究』30号、「異体字雑感」(馬場基氏:この木簡ワールドコーナーのどこかに写真がありますよ!)に紹介されています。他にも、
    ○左側に「魚」    右側に「年」→    今でいう何の魚でしょう。
               右側に「堅」→    私たちも食べています。   
                                  答:年魚(鮎)、鰹
    ○よく「」と書かれるものも左側が「魚」に!    などなど。
木簡や古代にかかれた色々なものをご覧になる時、ぜひ、探してみてください。あっと驚くような字がみつかるかもしれません。
今の中国でも、結構、派手に4字熟語をまとめてしまったようなものもみたことがあります。日本にもあるかもしれません。
 
古代人でもなく現代人ともいえない私は、ちょっと時代おくれかもしれませんが、こないだ、「ギャル文字」を見ました。読みにくかったけれど、なるほど!2つくらいの文字や記号で、たしかに1文字に見える・・・活字でもやればできる!おそれいりました。ここで訓練したら、木簡の文字も読みやすくなるかも?!です。
 
ところで、さっきの木簡の文字数の問題。16文字以上に見えた方いらっしゃいますか?私にはみえない他の秘密が隠れているかもしれません!当研究所までご一報ください!
                                                                                                             (井上幸)